どこにでもある話 3/いとう
 



これは自分の部屋で彼から聞いた話
深夜に泥酔しながらドアをノックした彼の話

とりあえず水を一杯渡すと玄関で倒れ込んでいた彼は
受け取ったコップをじっと見つめたあと床に叩きつける
しょうがないのでバーボンをビンごと渡した

さて、どこから始めようか

彼女は彼のケータイの番号を知っている数少ない女性の1人だった
何度か一緒に遊んだこともある
顔はあまり覚えていないが
ショートカットでやたらよく喋るのは記憶している
彼女とは3ヵ月ほど続いていたはずで
食い散らかす彼にしてみればそれはわりと長い期間だ
初めの頃の彼女はかなり舞い上がっていて
いつも腕を組んで
[次のページ]
戻る   Point(4)