夜の傷/mina
最近、よく眠れない。
真夜中にふっと目覚めてしまう。
その度に覚える奇妙な違和感。
足先を見れば、まだ新しい無数のひっかき傷がある。
決して自分の爪で引掻いた傷ではない。
まるで山中を素足で駆け回ったかのような擦り傷なのだ。
わたしは、以来、自分が信じられなくなった。
一体、このわたしが本当の私であるという証拠がどこにあるというのだ。
わたしが寝ている間に、もう1人の私が目覚める。
このわたしが眠っている間に覚醒し、闇の中を走り回っている私こそ本当のわたしなのかもしれなかった。
パジャマを脱いで、半身を剥きだして見る。
乳首に噛んだような傷跡。
猫すらい
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