*夏だった*/かおる
 


出涸らしのような夏が
のっぺりと緑に張り付いている

季節も針を進めるのを忘れたようで

時がとわに 流れていく

生まれ落ちた時代の旅人

その想いは 積っていく

しんしんと

真綿のように くるんとくるまれて
疲弊していく 日常にすり潰されて
渺々と吹き荒れる砂塵のような想い

時の波に攫われていく

秋にうまれた旅人も
冬にうまれた旅人も
春にうまれた旅人も
夏にうまれた旅人も

気がつけば夏だった

どの夏の記憶もよく似ているのです

幸せな夢を見続けて・・・
宵闇を切り裂き 弾け散る 花火のようで
夢から覚めるとジュ
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