夏の残り香/むらさき
 
 死にゆく蝉の声で起こされて
 夏と寝ていたと気づかされる

 まどろむ意識の中で
 シーツに潜む
 残り香を探す

 枕の隅に
 鼻を押し当てる姿は誰にも
 見つかることはなく
 夏の残り香を探す
 首に光る汗
 
 夏の残り香を探す
 めくれたTシャツ

 湿った記憶は眠りこけたまま
 起きる様子もなく
 起きる様子もなく

 
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