みぎてからのうそ/
むくげ
今日もわたしの右手はうそを紡ぎだす。
すらすらすらと動いてくれれば問題ないのに
わたしの右手は面倒で、
気分屋で、困ったものだ。
だけど、それでもわたしはわたしの右手を愛していて
わたしの物語は右手から生まれると信じている。
さらさらさらと動いてくれれば、一段といとおしい。
ぶつぶつぶつと考えるだけなら、少しばかり煩わしい。
わたしの右手は今日もまたしっかりと鉛筆を握り締め、
うその世界を創り出す。
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