故郷/相沢邑人
 
鞄を引きずり無人駅の改札を抜ける
そびえる山々には紅葉が色づき始め
頬を流れる風もひんやりと冷たい

反対を押し切って飛び出した二年前
都会の荒波で挫折した娘に
一体何を思っているだろう

ベンチに座りこれからのことを考える
ここに私の居場所はない
でもあそこには戻れない
私の行き場はどこにもない

よく頑張ったね
あんまり遅いから心配したよ
お父さんも喜んで待ってるからね

聞き慣れた声に私の思考が止まる
見上げたそばには少し老けた母が立っていて
それを見た私は声をあげて泣いた

>> イメージ画像付きの「故郷」
http://www.readtoyou.net/poem/hometown.html
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