名前のない色/
巧
「わぁ、あなた綺麗な色ね」
「そうかい?でも、僕には名前がないんだよ」
「じゃあ私があなたに名前をあげるわ」
「あなたの名前はXXXよ」
「XXX?それが僕の名前なのかい?」
「うん、そうだよ。あなただけの名前だよ」
彼女は僕を何度も何度も呼んだ
僕だけにしかできないこともあるのだと言ってくれた
だけどやがて彼女は僕の名前を忘れ
僕はまた名前を探して彷徨い続ける
数え切れない色たちの
喜びと悲しみの声が聴こえる
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