詩人の血/HARD
詩人は動かぬ旅人
時には持ちきれないほどの荷物を
時には水筒一つを
大事そうに持っていく
旅先であった女を
触れ 撫で 愛し
そして闇に押し込み
またどこかへふらふらと向かっていく
歩を進める度に 血がぽたぽたと地面に滲む
痛みを伴わず 色は思想と情念の残りカス
詩人は動かぬ兵隊
時には重い重い完全武装で
時には刀剣一つで
何かへ向かっていく
銃で 刀剣で
殺した子供達を
触れ 撫で 嘆き
そして下へ放り込む
快楽的正義的殺人鬼と化していく
歩を進める度に血がぽたぽたと地面に滲む
やがて 詩人の血の海となる
痛みを伴わず 悲しみも伴わず
思想と情念は混じり合って水蒸気となる
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