ヒスイ/魚骨堂
毎日公園の小さな池で
私は探す 飛ぶ宝石を
濁った水の上を鳴きながら
あの空のかなたに飛んでいったきり。
随分長いこと会ってない気がする
もう一度会えたら
きっと幸せになれる
空が高くなった
季節がひとつ過ぎていく
途方もないくらいの未来と過去が入り混じった
秋の夕暮れは息苦しい
太陽を夜が侵食して
翡翠色に輝いた空
池の水も翡翠色に染まった
瞬間
あの鳥がいた
あの鳥が戻ってきた
甲高い声で昔のままの私を切り裂き
透き通る何かを私の中に置き去りにして…
幸せとは
なんと早く過ぎ行くものか
でも心で私は捕まえた
幸せも私を捕まえたに違いない
明日こそ
太陽を相手に堂々と語り合えるだろう
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