文は夏でした/太郎冠者
 
文は夏でした
震えるという単語や
冷たい風の感覚を
いくら読んでも
文は夏でした
そのぎっしり
詰まった形から
ツンとする草いきれや
朦朧とした熱を
脳は錯覚するのでした
発育を待ちすぎた
根腐れする植物の恐怖
そんな焦燥感を漂わせながら
あなたの文は夏でした

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