エロとロマンと、いつかワルツを/千月 話子
 


銀色のトレーに可憐に座る サテンのドレス
髪飾りは 南国から船に乗って
重なるレースの割合が 品良く並び
切り分けられた 乙女の足首に
しっとりと纏わり付く ああ、、苺のミルフィールよ

蔦の絡まる鉄柵の門を開けて 広がる英国庭園の東屋

白いテーブルの上で その美しいドレスを
一枚一枚脱がせるように 頂こうか
赤い髪飾りが 足元の絵皿で転がっている

若い給仕のステファンが 艶々とした指先で入れる紅茶の名前
その 美しい姿を称えて
「真夜中の黒猫を入れて下さる?」と爪先を堅くして促すワタクシ
「ブランデーを一滴、いかがですか?」とガラスのような瞳で伺うカレ

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