どこにでもある話 2/いとう
 
格が一致していて
その一致性が恋愛に向けられたとき
それはあまりにも外見とかけ離れた
とても純粋な感情に昇華される場合がある
それは相手の本質を捉えようとしない
ひとりよがりのものであるかもしれないけれど

片思いのあいだの彼女は連絡待ちのため
仕事が終わるとどこにも行かずまっすぐ家に帰り
遊び歩いていた週末も失い
ついでに友達も失い続ける
自分がいないあいだに連絡が来るのが怖くて外出さえままならず
ピッチが入らない場所には行けず
唯一彼が皿を回す木曜の夜に(彼の仕事はDJだ)
彼の仕事場のクラブで朝まで彼を見続けるのが
唯一の楽しみだったと言う

「恋は盲目」と
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