帰り道/プテラノドン
「それが一番大事」が、
車のラジオから流れている。
はたしてそれが一番大事か?もちろん、と
ぼくはくちずさむ。
「あの人も唄っていたよ」助手席に座る妹が
すれ違った車の運転手を指差して
笑っていた。ぼくは何食わぬ顔で運転し続けた。
「こういうのを結婚式かなんかで話したら
お前、泣くだろう。」そう、妹に聞いてみたかった。
でもそれは、まだまだ先の話しだし
そのときまで生きていればいいだけのこと。
それから妹は、その日、学校であったことと
バイト先の話をした。ぼくは夕飯の話をした。
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