長老と少年/相沢邑人
村外れの長老の家に
一人の少年が現れた
ひどく汚れた服を着た彼は
扉を開けるなりこう叫んだ
遠く遠く離れた町から
父を探してやってきました
村中を歩き回ったけれど
どこにも父の姿はありません
僕はもう疲れました
このまま町に引き返したら
恥ずべき生き方になるでしょうか?
じっとそれを聞いていた長老は
少年に背を向けたままつぶやいた
疲れたならここで休めばいい
一晩ゆっくり考えてから
結論を出しても遅くはない
恥ずべき生き方かどうかよりも
お前が後悔しないことが大切だ
長老の家で一夜を明かした少年は
夜明けとともに力強い足取りで去っていった
そう
この村で悔いを残さないために
>> イメージ画像付きの「長老と少年」
http://www.readtoyou.net/poem/elder.html
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