黒頭巾ちゃんにかかってくる電話/チアーヌ
 
ある日、黒頭巾ちゃんがお掃除の終ったきれいなお部屋でひとりぽつんと座って泣いていたら、携帯が鳴りました。
「はい、もしもし」
「僕だよ。黒頭巾ちゃん、また泣いていたの」
「どうしてわかったの」
「僕には黒頭巾ちゃんのことはなんでもわかるんだよ」
「あなたは誰なの」
「わかるだろう。僕は君のかみさまだよ」
黒頭巾ちゃんは息を止めて、しばらくじっと携帯に耳を押し付けていました。
黒いかみさまの声は、こんな声だっただろうか。
黒頭巾ちゃんは、どうしても思い出せませんでした。
でも、ちがう、と思いました。
「さあ、わかっただろう。じゃあ、黒頭巾ちゃん、今すぐに下着を取ってあそこに指を入れてみてごらん」
「あなたなんか知らないわ」
「何を言うんだ黒頭巾ちゃん。昔よくこんな風にやったじゃないか」
「もう忘れたわ。それに、かみさまだったら今すぐわたしに会ってくれるわ」
「じゃあ今すぐに会おう。出てこられるのかい?」
「あなたになんか会いたくないわ」
黒頭巾ちゃんは電話を切って、再び泣き始めました。
きれいに片付いたお部屋を、夕日が赤く染めました。

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