煙草・2/椎名乃逢
口唇からたちのぼる
あなたは薄い雲を吐く
二人の間を遮って
天井にたまってゆく
この部屋を一枚の絵にしたら
あなたの「ふきだし」でいっぱいで
あたしはそこに言葉を詰め込む
何も言わないあなたをよそに
身勝手な希望で彩って
額に置かれた掌が
それを止めるように頬へ滑る
見上げた白い向こう側
あなたの笑みがあたしを引き戻した
溜め息と区別のつかない煙をひとつ
あたしの顔に吹きかけて
あなたはまた「ふきだし」と遊ぶ
口元に垂れた指を甘く噛み
載せたい言葉を飲み込んで
煙立ち込める天井は
そんなあたしの体内のよう
ふふっとあなたが笑うだけで
簡単に掻き乱されてゆく
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