無欲無情の戯れ言/アルビノ
 
全ての欲を絶ちたいと思った。
初めて思ったのはたぶん20歳の時。降り落ちる雨はなんて無欲なんだろうと思った。自然物に、欲を感じているものはない(当たり前だが)だから美しいのだと思う。
雨粒ひとつが降り、地面に落ちるまでの時間がいくらなのかぼくにはわからない。ただ、ひたすら降り、また雲になり降る雨が、無欲で美しいことは確かだ。無情さが美しいのだ。

全ての欲を絶ちたいと思った。
自分を好きになれると思った。到底無理なことはわかってはいたが。



だけど欲を絶つとはどういうことだろう。
欲といえば汚らしい響きだが、望みであり希望である。また、完全なる無欲とは生きる力を欠いているよ
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