小鳥語/瓜田タカヤ
れは幼児の体積分の幽霊として
聴覚は常に
肉体の黒鍵を何度も打ち付ける巨大な十本指の嘲りとして
内部に吸引される
天上の黒点を象っていた外壁は
実は初めから無く
ドアノブなど
簡単にはずれたり、または簡単に
回して開けることさえも
本当は可能であるのだろう
俺がどんぶりを運ぶ前は
スロット屋で
ボタンを押していて
その前は
女の足の付け根の上に内在し
その前は肉塊でとろけていて
日々抑揚する熱波に無感情で反応した。
それでもきっと
その前くらいはせめて
誰かの折れた肋骨を
少しでも
回復させたかも知れない果樹の
養分であって欲しい。
全ての人間がいる前で
とまどいながら脱いで
小鳥の眩しいさえずりを真似た。
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