回 帰/
田代深子
哉 ご馳走は
とってある
橡が
かしぎ旋盤機を覆う
百年も
眠れるよう
に
あわてないでまだ
まだだよ
蝉が鳴きやむまで哉哉哉哉
日が
暮れきって叔母と
橡と旋盤機が
入り口の穴になって
空いて
おかえり
おかえり
さあ
お食べ
なさい今日はご馳走
錆で真っ赤な
手を洗って
いえこれは
百合の
花粉
哉
哉哉哉哉
赤土に落ちた蝉
を囲み 旋盤機が
またかしぐ
2005.9.3
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