回 帰/
田代深子
錆こする
蝉 が赤土の
踊り場を囲い 哉
哉哉哉哉 といにしえの
合
唱をまねび叫ぶ
哉 哉哉哉 哉
橡の木の下で錆び
た旋盤機が
抱え込む影塊は夕立の日に
家を失せた
叔母 おさなくして
「ああ
やっぱり
そこにいたの」誰も
確かめにいかない で
ごめんね 母は小声で
そこに いたのわかった
それで
充分 丈高い
夏草の叢
にかがみこんだまま
まだだ よまだ
動いちゃ 錆が
新しいシャツをよごす
じゃない 哉 哉哉哉
哉
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