9月3日/はらだよしひろ
古い雲の向こうには
面影が ひとつ 笑っていて
見えないのだけれども
残っている断片が
さらさらと流れていくように
交わっていくのだね
記憶
うすれていくもの
それは「思い出」という言葉に溶け合って
なくなるもの
白い肌は空色の宙にあって
触り心地を確かめられるものでもなく
青色の清々しさに
ちょっとばかり眼差しをにじませて
かたわれの陰は
永遠を留めておかずにはいられないのか
見えるはずのない 面影は
心なしか 笑みを携えて
隠れ
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