萌える/tonpekep
 
女にも男にも嬉しい響きとともに

龍神の川の滑りに
上御殿と下御殿という宿があって
代々紀州徳川御三家の殿様たちは
この宿の湯で
煩わしい藩政の隙間をかいくぐっては
萌え続けてきたわけだけど
殿様というものがお客様という階級にまで落ちてきた現代
ぼくらも
夏の集大成というよく分からない題目を
それぞれの胸に秘めながら
この宿で萌えることが出来る

その下御殿の宿の湯は
浴槽も洗い場も全てがたたみ敷きという
萌え切る全ての要素を
風呂場の中に凝縮しており
湯の中で触るたたみの目の萌えさ加減は
かつてぼくが経験した全ての萌え度を超え
空前絶後
絶妙であった


萌え

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