徨/木立 悟
 




雨が来る
雨が近づく
星を隠してしまう



足を失い
けだものは川へ行く
たとえ流されても
先へ進む



闇のなか 地に手をつき
文字を指で書きならべる
光の下でそれを読めるか



ひとつの足あと
素足の深さ



午後の明るさが
星を遅くする
押しやられた問いが
やがてもどるその時
地平から別の夜が
昇ってくる








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