17の僕/はらだよしひろ
年を重ねるごとに17歳に戻っていく
1976年生まれの影
遠のくものが遠のき
遠のくものが近づく
そして触れないもの
名刺入れには 肩書き
名刺ケースにも肩書き
ようやく普通になれたな
と
思う日々をすごして
とてつもなくやるせなくなる
木の葉が落ちた
足元は差した光を蹴り返して
おしゃべりを照らす
僕は17歳には戻れないが
17歳は作り出せる気がする
昔はそれこそ大人になりたくて
幸せになりたくて
17歳を殺した
17歳は僕の知らない底また底で
17歳を望んでいた
スーッと細い糸道のように
ぶら下がりながら
死んだはずの17歳が生きていたことを知って
嬉しかった
僕はネクタイを締めた17歳だ
月に25万の月給を貰っている17歳だ
車を毎日乗ってる17歳だ
バリバリ働らく今の僕は
17歳の僕が望んでいた
夢の男だ
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