やきそばパンはいかにしてなくなり、夏はどのように始まったか/Monk
「ここから飛び降りるって言ったらどうする?」
「やれやれ。気まぐれなお姫さまだ」
「なによ、その棒読みのセリフは」
「感情がこもっていないんだよ」
「あのねー」
屋上、ほどよい風とやきそばパン
「他人の話をちゃんと聴く、ということができないわけ?」
「そんなこともないよ」
「そんなことあると思うけど」
「慣れてないんだよ」
「他人の話をちゃんと聴くことに?」
「いんや、チサがオレに」
「あのねー」
僕は彼女の名前を知っている
彼女は僕の名前を知っている
「やきそばパン、眺めてて楽しい?」
「んー、眺めてて
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