ミュート/蝶番 灯
君は滅多に喋らない
余程の事が無い限り
僕は君の声を聞く事は無い
何時も僕が一方的に話すだけで
君は表情と相槌だけで
返事をする
君の長い長い前髪は
角度によっては君の目を隠す
その目はちゃんと僕を見ていてくれる筈だ
僕にはそれが判るのさ
僕が何も訊かなくても
君が何にも言わなくても
君が言葉にしなくても
お互い通じ合ってる
「愛してる」
恋にも沢山な色がある
そんなの気分や見方によっては
変わるし故意に変えられる
勝手な空想でしかない
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