ノート(眩)/木立 悟
 




ふわふわが
ふわふわに言います
もっと
ふわふわになる


光が光に目をふせ
渦の生まれを見ます
ふたつ
生まれた


ほつれ
ほどかれる指が
からまわりします
わたしはここ


階段の影に
矢印が降ります
背を指す小さな
指のあつまり


蛍光の白と 蛍光の黄が
午後になります
右半分だけ
ふちどるしぐさ


どこにもいない と
つぶやきます
ここにいた と
つぶやかれます


ふわふわを触れる手に
触れていきます
まぶしくて
見えなくなります


失くしたものを思い出して
まぶしさが泣きます
触れる手を昇り
空に着く色


からまり
すれちがうものが飛びます
空は
ひらいたまま鳴ります


ひらいたまま 鳴ります







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