アポロチョコ、青い月、雫する朝、筒の声。/秋
「あす、朝六時にアポロ、買おうか」
硬質の音と一緒に入り込むひかり、かざした手の色は赤
嘘色の白色光がかすみゆく。月は共存してはいけない。
アスファルト道路に浮かぶ酷薄な影が誰かの足に届いた
一睡もしてない明かりの目の前でするりと滑る手のひらと指
「まだアポロ買ってないのに」声溶かす唇なんて塗料で隠せ
「必要のない器官などいくらでも隠す手段はあるのですから。」
額から滑りゆくのは朝色の空から落ちてきていた雫
“ここにいま立ち尽くしてれば滑りゆく雫で水がたまってゆくの”
水面にうつって揺れる葉が君の腕に似ていた「水面を壊せ」
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