透明な葉書/霜天
目が覚めると
広い窓の部屋にいる
鍵穴にくるり、と
鍵を差し込むのはもう何度目だろう
潮の香りがする
海が近い、ようで
不透明な窓から
青いはずの海を想像してみる
仕方が無い、のかもしれない
君からの便りは、もう
読めないほどに薄くなってきている
毎日届いてはいるけれど
君はそのことに気付いているだろうか
静けさに、寒くなって
目を閉じれば繰り返しの歌がある
空がなんとか、とありふれたメロディーで
通り過ぎるように、覚えているだろうか
僕らを
そのまま眠ってしまっても、届くわけもない
誰も、広がらない部屋と窓
君からの便りが消えていく日々に
夢の中ではギターも弾けない
ので
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