黒の列/もる
制限された服で哀れな列に揺られている
僕だけが笑っていて他は泣いているのだった
可笑しいほどに澄ました表情で聳え立つ花は
僕なんかが見たって明らかに不自然だった
目の先で貴方が動かず笑っている
そこだけが違う色で不思議に思えた
僕を抱きしめるその手の冷たさに
いつもの貴方が見えないのだった
煙の中に貴方の香りが少しするようで
ただ揺らめく炎をじっと眺めていたら
その先に貴方が消えそうな笑みで揺れていて
手を伸ばせば届きそうなのにそれが出来なかった
長い夢から覚めて全部嘘だと聞かされた
貴方が見えなくても頷くしかなかった
制限された服で哀れな列に揺られている
僕も他も無表情で足音だけが響く 星の見えない夜
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