夕方/
石川和広
も選べずに
いつまでも
影から逃げながら
甘い手紙を待っていた
ひんやりした母の顔
飛行機山に落ちた
街路樹と白い通りを
自転車で走っている
そんなシーンに移行
僕は血が通っていた
透明で
流れる記憶の川を
逆らって
走った
走った
曲がっていく堤防
のゆるい坂道
仕事がない
永遠に
手ぶらなのか
橋の下に
人が生きている
青い世界の
粘膜の中を
生きるときが
今もある
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