波間へ/
霜天
抜ける気がする
夏暮れ
可能性、のようなものは一瞬の
発光する手の先で、ちらちらと舞い落ちます
いつかついた嘘の分だけ
君は半透明になっている
なにも知らない僕は、もう半分になっている
波間へ、投げ込んだボールはくるくると回りながら
気が付けばその足元に立っている
波間へ夏暮れ
もうここに、帰るしかないので
見ています、その
透けてしまった向こうの景色を
逃げるようにして
追い抜くようにして
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