始まりの秋/tonpekep
夏が去っていくと
雲の足音が聞こえたりする
道程はうっすらとひかって
わたしの側で
秋はひとりでに語りだす
もの音は静かに出会ったりする
さよならの方角がすこしずれてたりして
ときどきわたしは
誰かの落とし物を拾ったりする
秋はゆっくりと覆る
そうして昔話なんかが零れたりすれば
洗い晒しのカッターシャツが涼しく感じられる
幾度となく夏の記憶に
秋のひかりがしみ込んでゆく
傾斜した風の上を転がっていくやさしいものたち
傷つきながら転がっていくやさしいものたち
両手を広げるなら鮮やかに色づくものたち
祈りのようなものとして
わたしは受け止める
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