白の軌跡/銀猫
 

わたしの海を
二艘の舟が進んで行く


その行き先を知らず
遠く岸から眺むれば
白波の軌跡だけが
刻の経過を物語る



少し空に近い場所から
海と舟とを見下ろして
航路の果てを探っても
二艘の舟は語らない



こころの中に
確かに在って
時折視界を離れる
かつての夢や希望とおぼしき
その舟に


愛しきひとの
名前を捧げよう



祈りと鼓動を
届ける代わりに



戻る   Point(6)