白の軌跡/
銀猫
わたしの海を
二艘の舟が進んで行く
その行き先を知らず
遠く岸から眺むれば
白波の軌跡だけが
刻の経過を物語る
少し空に近い場所から
海と舟とを見下ろして
航路の果てを探っても
二艘の舟は語らない
こころの中に
確かに在って
時折視界を離れる
かつての夢や希望とおぼしき
その舟に
愛しきひとの
名前を捧げよう
祈りと鼓動を
届ける代わりに
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