朝彩/木立 悟
見えない飛沫の連なりが
輪のかたちにそそがれる
低く飛ぶ蝶の腹を見上げ
同じ速さで陽をすぎてゆく
うすく明るい
鳥の影が交う道を
飛べない鳥が歩いてゆく
気まぐれな光源を見もせずに
道のむこうの道へと向かう
空から生まれ降る花を
歌う口から舞う蝶が追い
あたりは
細く重なる音に満ちてゆく
胸から腕へ
胸から脚へ
からだを作り
分ける線から
火と羽がななめに吹きあがり
両腕をひろげるものの姿を
雲の奥へと映しだす
朝の音が途切れては鳴り
朝のからだのうつろに響く
隙間から隙間へと入り込み
飛ぶもの飛べないものをふちどり
遠い補色にまたたいてゆく
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