迷い猫/炭本 樹宏
 

 世界の中心に いた頃は
  
 愛という 言葉さえしらなかったけれど
  
 群れの中に放されて

 愛という 言葉を教えてもらったけれど
 
 そんなものが あるとは信じなかった
 
 胸にいくつもの 矢が刺さって、生贄だけをさまよい求め
 
 いつしか僕は 人殺しになってしまった

 青春の季節に 彼女が見せた涙は
 
 僕の傷口をやさしく 洗い流して

 世界の中心にいた頃を 思い出させてくれた
 
 一人じゃいきていけない 弱き人々

 でも、刹那に交える 輝ける同じ時

 誰でも心の鍵を にぎってる

 迷いながらも 生きている





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