ピラミッドの匠/ブルース瀬戸内
果物屋のおばちゃんは
リンゴでピラミッドを作って
バナナにそれを眺めさせて
スイカでバナナのための日影を作ります。
どこよりも甘いグレープフルーツを
毎日同じ男の子が買いにきます。
男の子の未来図は
グレープフルーツを食べている時に
最も鮮明になります。
どこよりもジューシーなライチを
毎日同じ女の子が買いにきます。
女の子の美しさは
食い気が先導しているのかもしれません。
どこよりも早く店を開けて
どこよりも遅く店を閉めるおばちゃんは
皆が果物を選ぶ時の顔が大好きだし
リンゴの仕入れが間に合わなかった時に
分からないように他の果物を使って
ピラミッドを作ってしまう自分に
惚れ惚れとするナルシストでもあります。
そんな様子すら
バナナは眺めなければいけません。
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