去り行く人は、海辺の/霜天
みたいな世界は歩けば少しで割れそうで
砂浜を踏む足先に体のすべてを集めて
空に通りかかった飛行機雲の先を
あのレールはきっとここにも
そんなふうに見つめながら
僕はただ、黙るしかない
去り行く人は、海辺の
皆どこまでも笑顔で、笑顔で
帰らない手紙は、どこまで行っているのかと
僕らにはきっと、知る術もなくて
遠く、大型船がごおんと空にぶつかる音が響くと
皆一斉に手を振って、手を振って、笑顔で
僕があの空に追いつけるのは
この歩幅よりも、もっと
遠く
遠く
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