去り行く人は、海辺の/霜天
 
それは、いつだろう
遠くないかもしれない、毎日、かもしれない



水平線、その丸みが空に一番近いところ
大型船が突き抜けていくのを
海辺で、並んで、手を振って
ただ眺めている人たちの姿
あれは向こうに落ちていくんだよ
空に近づいて、空を破いて
すとん、と向こうに落ちていくんだよ
そんなことを笑顔で、ただ笑顔で

長いトンネルを抜けた日
空の青さが僕らに一番近い日
去り行く人は皆、海辺の
倒れた木のあたりに集まって
帰らない手紙を待ち焦がれている
空の近さを
雲の行方を
ふわり、と浮き上がりそうになりながら


空が青かった、海が青かった
硝子みた
[次のページ]
戻る   Point(11)