帰燕/
落合朱美
痛々しいほどの
朱をさらけだして
鶏頭が咲く
傷口は
季節が変わっても
じゅくじゅくと疼き
癒す言葉など
持ち合わせてはおらず
ただ唇を乞う
ツバメが
ひととき低く円を描いて
そうして南の空へと消えた
彼らには帰る処がある
帰る処がある
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