思い出せる涙は/
千波 一也
思い出せる涙は
すべて
私のせいであるが故
思い出せる涙は
なんとか上手く
こころに
収まる
思い出せぬ涙は
だれのせいであったか
どんな色であったのか
そもそも
流れた事実が
確かであったかどうか
私は身を温める術だけに長けてゆく
思い出せる涙は
すべて
そう、すべて
思い出せる涙は
すべて
私のせいであるが故
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