秘密/
たもつ
ひまわり畑の上を
一羽のペンギンが羽ばたいていく
僕はその意味がわからないまま
男の人と手を繋いでいて
見送るより他なかった
ぎゅっと握ると
男の人の手は少し汗ばんでいて
何か大切なものを包み込むような力が
僕を押し返す
とても有り触れた
けれど特別な名前で
その人を呼んでいた気がする
ひまわりが無かったら
ペンギンはどうなるのだろう
そう考えると急に恐くなって
更に力を込めた
掌の中で
男の人も景色のすべても
粉々に砕け散ってしまった
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