季霊/木立 悟
 



蛍の熱さの砂のくぼみに
産み捨てられたまだらの水晶
偽物を探し求める群れがゆく
風は足あとに倒れつづける
空を機械の音がまわる



網の内の冬
三重の星雲
にじむ夜から
空の花から来て
指を伝う見えない水
窓の向こうの
粗い景をなぞる



泡をまとい
羽をひろげ
水の内を飛ぶ
解きをもとめ
光をふりはらい
深みへとはばたく
化石 花
越えてゆくものすべてが



二つ以上の意味と姿
根づくことのない姿
朝の上に降る霧雨や
月が造る白い虹から
駆け下りる冬の血
冬の賊



波も泡も消えてゆくとき
三枚の翼が八枚になり
やがて楕円の光となるとき
水と星との衝突のように
激しく天を穿ちこじあけ
三つめの刃の季節はあらわれ
さらに重なろうとする星雲を引き寄せる






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