クローゼットの中は/りぃ
 
 小さな私よ
 跳んで行って伝えるのよ
 言葉では図れない何か
 触れることで判る何か
 
 大きなクローゼットが
 いつも遊び場だったけど
 誰かが私を見つける事は
 そんな事は無かった

 洋服の隙間に隠れて眠った
 あの独特の匂いが好きだった
 閉鎖空間で眠る心地良さを
 あの頃知ってしまったのだろう

 草原の匂いも
 海辺の湿った匂いも
 知らずに育ったけど

 愛しい人の匂いだけは覚えているよ
 伝えたいのはきっとそういうこと。

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