処暑/
雑魚ヒロシ
夏の終わりには
風が囁くように傍らを通り過ぎ
蝶はラン・デ・ブのさなか
嘴に捕えられ
蜜はそのくちづけから
緩やかに零れて
太陽は輝きを彼方へと
少しずつずらしてゆく
真夜中の荒い息遣いへ
灯された一点の火はレクイエムを
かそけく匂わせて
中空から見つめる
紫に思惟するような霊の眸を
背にして
公園の片隅で
また贖いの種を掘り起こし
ひとりほくそ笑む
君は
いつかの骨です
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