蛍村の事/
m.qyi
蛍村の事
夜の湿ったシーツ
燐寸を点ければ
一寸先の闇の中の奥まった処に山があり、野があり、兎に小川、優しい鬼たちの里がある
何故帰って来たのかと故郷の鬼が泣いて言う
悪かったよ、ごめん
もう、いくから
平成十五年、長梅雨の冷たい夏だった。
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