白鳥考/m.qyi
白鳥考
むかし、むかし、花束を手に鼻水垂らしてやみくもに団地をつ
っ走る緑のテイーシャツ青年がいました。赤炎筆尾殺樫手架毛呂
けちゃっぷ命之四朗という名前でした。古池にローマ金貨を放
り投げる古風な若者でした。
堤川区の図書館のおばけは本を読んでいる。
バス停牟田河湯場のおばけは水色のセーター着ている。
尼野ガ原駅のおばけはいつもショッポをくわえてる。
そんな事を夢見ている青年でした。
ある日、二羽の白鳥が川の三土里の水面ぎりぎりに翼を切って飛
んでいきました。見るのが疲れても、いつまでもいつまでも、水
面ぎりぎりに翼
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