夜に独りじめ/大海
夜半にうなされて
こだまする改造バイクの遠吠えに
眉をひそめるも
よくよく耳をすますと
猛烈に息つくクーラーの音だったので
夜風を浴びに
外へ
都会の住宅地は
日が落ちると
宇宙人の施設に変貌する
誰もいない いない いないけれど
静かな寝息による
酸素で満ちている
道路のど真ん中を闊歩すれば
たちまち軍靴の音が響きわたる
不敵な笑みをうかべ
ダース・ベイダーもゆっくりうなずく
両手を広げ
信号が赤になるのを待つ
街灯の渦を駆けだし
滑走路をジャンプ
月面着陸成功!
旗はどこかと尋ねてしまい
うさぎ一羽の返事もない
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