そら ?/木立 悟
そらとみずうみだけがつながって
あとは離れていってしまう
灰色の瞳に見つめられて
こんなにも微笑んでいられるのは
雨が独りで発ってゆくから
独りの訳を知っているから
みんな水によろこんで泣いて
ただ予感だけのために夜を明かす
星も月も灯もない日に
あたたかさのためでも
すずやかさのためでもなく
ただ独り来るであろうもののために歌う
水にも地にも映らない
夜だけのための白い雲
いくつもいくつも
はやく はやく
そらを斜めに引き上げてゆく
どの土地にも
どの季節にも
居つづけることのできない鳥のように
夜にしか見えない白い雲
そらとみずうみをつなぐもの
どこまでも独りのまま
灰色の瞳の前をすぎてゆく
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